3Dプリンタ(2000年11月、日経デジタル・エンジニアリング)

3Dプリンタ製品の発売相次ぐ

形状確認以外の用途へ

3Dプリンタの特徴はそのままに、造形品を形状確認以外の用途へも利用できる製品の発売が相次いでいる。

豊田通商「Z402C」
256色で任意の色付き

豊田通商は、256色で任意の色付きのモデルを造形できる3Dプリンタ「Z402C」(米Z社)を2000年10月に発売した。装置価格は1480万円。色情報を扱えるVRMLの形式で3次元CADデータを読み込んで形状を出力する*1。CADデータの出力のほかに、VRMLファイルで出力することが多い有限要素法解析や熱解析などの結果を、デザインレビュー向けに造形品として出力するなど新しい用途が考えられる。

インクジェットノズルで射出
シアン、マゼンタ、イエローにクリアを加えた4色

インクジェットノズルでシアン、マゼンタ、イエローの3色にクリアを加えた4色のバインダを射出して粉末を固着する方式。カラーで出力する場合の最大造形寸法は、XYZで100mm×150mm×150mm。手で持つ程度の大きさのモデルを造形する場合、フルカラーでは単色の3倍程度の4~6時間かかる。

丸紅ソリューション「Prodigy」
設計者の機能確認用

組み付けやかん合のチェックなどの機能確認にも設計者が3Dプリンタを使いたい、というニーズに対応する新製品が「Prodigy」(米Stratasys社)。国内では丸紅ソリューションが9月に発売した。装置価格は1800万円。樹脂溶融型RP装置「FDM」と同様の原理で動作するが、FDMにはない3Dプリンタとしての使い勝手を盛り込んでいる(図2)。

ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)
速く手軽に造形

造形材料にABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)を利用して、速く手軽に造形できる点が特徴。溶融樹脂を吐出するノズルの軽量化により造形速度をFDMの1.5~2倍程度に速めている。Stratasys社製の3Dプリンタ「GenisysXs」と比べて同等の速さを実現しているという。

造形モードの切り替え
精度重視や速度重視

最大造形寸法はXYZで203mm×203mm×305mm。積層ピッチを0.18mm、0.254mm、0.35mmの3種類から選択して、精度重視や速度重視に造形モードを切り替えられる。

3Dプリンタ「ThermoJet」
耐久性を向上

従来から販売されている3Dプリンタ「ThermoJet」(米3DSystems社)*2も、新材料の開発により使い勝手が向上。新材料の「ThermoJet2000」は、材料に柔軟性を持たせることで造形したモデルの耐久性を向上させている。従来はモデルがもろく、壊れやすかった。

「Z402C」により造形したモデル

256色で任意の色を付けられる。

「Prodigy」の外観
FDMより使い勝手を向上

設計者による利用を想定し、「FDM」と比べて使い勝手を向上させている。前方のカセットを交換するだけで樹脂を供給できるようにした点もその配慮から。従来はリールに巻いた樹脂を取り付ける作業に手間がかかっていた。

*1 オプションのSTL編集ソフトを利用すれば、色を指定したSTLファイルを出力できる。日本ではこのオプションソフトを標準でバンドルして販売する。
*2 国内ではインクス(本社川崎市)とキヤノン販売が680万円で販売する。