野菜、米、牛乳、魚介類計263検体を調査

残留農薬検査は、汚染食品が流通市場に入らないようにするのが目的だ。名古屋市役所では、1969年(昭和44年)以来毎年実施していた。

1987年(昭和62年)度は中央卸売市場や米問屋などを対象に、野菜、米、牛乳、魚介類計263検体を調べた。

北名古屋の農家から出荷

残留農薬を検出したホウレンソウは、1987年11月、愛知県西春日井郡西春町(現:北名古屋市)内の農家から大曽根青果地方卸売市場(名古屋市守山区)へ出荷された84キロの一部。

有機リン系農薬EPNが基準値の10倍検出

食品衛生法で0.1ppm以下とされている有機リン系農薬「EPN」が、基準値の10倍の1.03ppm検出された。

このホウレンソウは、検査結果が出る前に全量市場に出回ってしまったが、名古屋市衛生局では「今回程度の濃度であれば、毎日1人約110グラム(おひたし5食分)を生涯食べ続ける分量以下なら人体に影響はないだろう」とみている。

余った分を流用

EPNはホウレンソウには、使用を禁止されている農薬だ。名古屋市衛生局によると、この農家が他の作物に使って余った分をホウレンソウにも使用(流用)してしまったらしい。

使用中止を指導

名古屋市衛生局から連絡を受けた愛知県農業水産部は、この農家に対し既にEPNの使用中止を指導した。このほかの野菜、果実、米、輸入牛肉の残留農薬と、魚介類のPCB、水銀、牛乳の残留農薬、PCBはいずれも問題なかった。

愛知県衛生部の検査は「通常値の範囲内」

一方、愛知県庁の衛生部も1988年5月24日、名古屋市外で流通している食品の安全度について発表した。1987年度中に延べ1445件の検査をした。

その結果、PCBや重金属、残留農薬は規制値や文献上の通常値の範囲内の含有にとどまった。問題なかった。

参考動画

▼有機JAS、有機農業とは