1992年6月3日から14日までリオデジャネイロで開かれた地球サミットには、166か国の代表と103か国の元首が参加しました。

先進国と途上国の間の意見の対立、先進国間の意見の相違などにより交渉は難航しましたが、最終的にはリオ宣言、アジェンダ21、気候変動枠組み条約、生物多様性条約、森林保全の原則声明が採択されました。

リオ宣言は地球憲章とも呼ばれるべき性格で、今後の地球環境保全についての原則を述べています。

アジェンダ21は21世紀に向けての地球環境保全のための行動計画書。

第2章の「開発資源の保護と管理」では、大気保全、陸上資源の管理・計画、森林減少対策、砂漠化と干ばつの防止、持続可能な農業と村落開発、生物多様性の保全、バイオテクノロジー、海洋の保護、淡水資源の質の保護と管理、有害化学物質、有害廃棄物、一般廃棄物、放射性廃棄物の環境上健全な管理など環境保護のほとんどすべての項目が羅列されています。

しかし、その対策の方法は今後の研究に待たなければなりません。

アジェンダ21を実行するには年間6000億ドルの投資が必要で、資金の調達方法はこれからの問題です。

気候変動枠組み条約は、米国の強い反対で、炭素1トン(CO2では3・7トン)当たり200ドルの税金を課そうとする炭素税が条約に含まれなくなり、一種の骨抜きになりました。

生物多様性条約は生物の多様性の保全、その構成要素の持続的利用、遺伝資源から得られる利益の公正で公平な分配が目的。

遺伝資源保有国の主権を認め、資源提供国の参加の下に研究を実施、途上国への技術移転は公正で最も有利な条件で行うなどの内容です。

日本を含む157か国が署名しましたが、ブッシュ米大統領は拒否しました。

砂漠化防止は、中国およびアフリカが強く主張しましたが、少数意見で条約への格上げはできませんでした。

しかし、アジェンダ21に書き込まれています。

サミット後の課題として、炭素税が日本経済に与える影響などの政治経済的な研究、地球温暖化問題の議論に欠かせない正確な気候予測研究、植物の光合成の基礎研究を行うとともに、CO2固定技術開発に向け、今後も国際協力が必要です。

米商務省科学技術研究所国際人類栄養学プロジェクト担当部長のG・VV・アイエンガー博士は、環境モニタリングには、リアルタイムに行う短期的な傾向のほか、過去のデータを見直す長期的な傾向を調べるのが重要であると強調しています。

この目的で、採取したサンプルを長期保存する「バンク」を構築する必要があり、アイエンガー博士は「長期傾向を調べることで多くの化学物質について基準値を知ることができる」と述べています。


山口和貴

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