産学官で新産業創出 地域や経済を活性化(古閑健二郎 北陸大学、2003年12月)

名古屋

東海地域生物系先端技術研究会など5団体は2003年12月8日、名古屋市で「アグリビジネス創出・産学官連携シンポジウム」を開きました。大学や研究機関、民間企業、生産者の共同研究を促し、21世紀の科学技術立国への新産業創出を目指します。150人が参加しました。

競争的資金

アグリビジネス創出・産学官連携シンポジウムでは、農水省などが新技術研究の公募助成「競争的資金」について説明。農林水産業や食品産業の発展に寄与する、産学官の研究を後押します。共同研究組織を立ち上げ、異業種との融合研究で、地域や経済の活性化を促します。数100万~1億円規模の助成事業を紹介しました。

国立大学の独立行政法人化

愛知県農業総合試験場の石本佳之企画普及部長は、連携研究の成果を報告。サカタのタネ(横浜市)とトマト「ルネッサンス」、JAあいち経済連と大葉「A51」の開発事例を紹介しました。2004年度以降の国立大学の独立行政法人化に伴い、連携強化を目指します。

名古屋工業大学

また、加工米を利用したアサノ食品や福花園種苗、後藤孵(ふ)卵場、名古屋工業大学も、先進的な技術開発の事例を報告しました。

アグリビジネス創出(古閑健二郎 北陸大学、2003年1月)

農林水産省農林水産技術会議など主催のアグリビジネス創出産学官連携シンポジウムが、名古屋市東区の愛知芸術文化センターで開かれました。

大学の研究者ら約200人

農業関連のビジネス振興のため最先端の農業技術や国の支援制度を紹介するため10年以上前から毎年開いています。農業団体ほかビジネスチャンスをうかがう食品会社や設備機器メーカーなどの企業関係者、官庁職員、大学の研究者ら約200人が参加しました。

農協の資源リサイクル

茶園における新しい害虫駆除方式や、資源リサイクルを進める農協の取り組みなどが、紹介されました。

立教大で人材教育シンポ(2006年10月)

ニートやフリーター

立教大学による産学官連携シンポジウム「いま求められている教育とは?若者がいきいきと社会で活躍するために」(読売新聞社など後援)がこのほど、東京・池袋の立教大キャンパスで開かれました。ニートやフリーターといった若者の雇用を取り巻く問題を踏まえ、企業、大学、行政の3者が、人材教育のあり方について議論しました。

冒頭、東芝の岡村正会長が、「グローバル時代に期待される人材」と題して記念講演。〈1〉課題を解決する能力〈2〉異文化に対する理解〈3〉コミュニケーション能力--の3点を、求められる人材の要件として挙げました。

森本昌義ベネッセ社長

産学官の代表が参加して行われたパネル討論では、「スキルだけでなく、人の心を動かす情緒的な価値を高める人材の育成が必要」(三屋裕子・シャルレ社長)、「教養を磨き、仕事以外の人間的な魅力を高めて欲しい」(森本昌義・ベネッセコーポレーション社長兼CEO)など、企業側から教育界への注文が目立ちました。

経済産業省の守本憲弘・産業人材政策担当参事官

一方、経済産業省の守本憲弘・産業人材政策担当参事官は、実行力、積極性などのスキルを「社会人基礎力」と定義し、その意義などを強調しました。

大学呼び戻し知を集積(2002年6月)

社会人向け大学院

サテライト教室

大阪市の中心部に、社会人向け大学院のサテライト教室(キャンパス)の進出が相次いでいます。都心部への工場や大学の立地を制限した工場等制限法の廃止が確実となり、市も湾岸部への大学誘致を検討し始めました。関西経済連合会は大学や行政と連携し、大学を都心部に呼び戻す「インテリジェントアレー」構想を打ち出し、知的インフラの集積で都市再生を図る動きが進みそうです。

大学の立地を制限した工場等制限法の廃止

阪急梅田駅から徒歩で約5分の高層ビル「アプローズタワー」。会議室が並ぶ13階に夕方、社会人らが集まって来ます。2000年に開設された関西学院大大学院のサテライト教室「K・G・ハブスクエア大阪」。商学、経済学、言語コミュニケーション文化の3研究科の約130人が利用します。

教授法を学びたい

この教室の特色は、言語系コースがあることです。。英語の再教育を行い、学生の約半数は中・高校の英語教師です。神戸市内の中学で英語を教える村上ひろ子さん(32)は、「教授法を学びたかった。便利な場所でないと受講出来ないのでここを選んだ」と話します。

大阪市立大が都市政策の新研究科

梅田周辺では、大阪産業大も2000年4月に「サテライトキャンパス」を設置。宝塚造形芸術大は2003年度の開設を目指し、自前のビルを建設する熱の入れようです。大阪市立大も2003年度、駅前第二ビルに都市政策の新研究科を開設する予定。難波駅近くの大阪府立大など、梅田以外で開設している大学もあります。

関西学院大

少子化で各大学が社会人に目を向ける中、学生獲得にはカリキュラムと共に立地の良さも重要な要素。関西学院大企画室の小西砂千夫教授は「交通の便を考えたらやはり梅田。これからは実学志向を徹底しないと生き残れない」と言います。

分譲地に大学誘致へ

工場等制限法は、今国会に廃止法案が提出され審議中です。大阪市では、五輪誘致が失敗した舞洲や、売れ残りに頭を悩ます咲洲の分譲地に、大学を誘致する方針を決めました。2002年4月に「大学等誘致部会」を設置し、情報収集を開始。「産学連携の研究機関なども含め、誘致を考えたい」と村上竜一・文化集客部長は話します。

カリキュラム研究

関西経済連合会の「インテリジェントアレー」構想は、大阪では大学の郊外流出が東京以上に激しく進んだことへの危機感が背景にあります。キャンパス全体が都心部に戻るのは難しいですが、サテライトなどの設置を進めるため、カリキュラムを含めた研究に取りかかっています。

社会人教育の拠点「キャンパス・イノベーションセンター」

大阪の文化・歴史の中心地・中之島(大阪市北区)に2004年4月、大学と産業界との連携や社会人教育の拠点「キャンパス・イノベーションセンター」がオープンします。大学の「知」をイノベーション(技術の革新)につなげるため、企業との連絡・相談窓口「リエゾンオフィス」、ビジネスマンらを対象にしたサテライト教室などを設置。大阪大が地域社会との連携拠点として併設する「中之島センター(仮称)」とともにその役割が期待されています。

東京工業大・田町キャンパス

イノベーションセンターは、文部科学省が中之島のほか、東京都港区芝浦の東京工業大・田町キャンパスに建設します。中之島の敷地は阪大医学部跡地の一角(約1000平方メートル)。大学側が約20年前から同窓生らに寄付を募り、施設の建設計画を進めていましたが、同省が阪大と協議し、2001年秋にイノベーションセンターとの合築を決定。2001年度の第二次補正予算に事業費が盛り込まれました。

国際金融や経営戦略の講義

全体で12階建て延べ床面積8000平方メートル。ビルの下層階がイノベーションセンターになります。リエゾンオフィスでは、企業との共同研究の仲介や企業ニーズにマッチした研究成果の紹介をします。サテライト教室では、雇用の流動化に伴い、より高度な専門知識を求める社会人を対象にした国際金融や経営戦略などの講義、文化、歴史など各大学の特色を生かした市民向け講座などが検討されています。

府立大経済学部長

国公私立を問わず、希望する大学に有料で貸与。大阪府内大学学長会で事務局を担当する宮本勝浩・府立大経済学部長は「大阪の都心部という立地は魅力的です。社会貢献の場として活用したい多くの大学が名乗りを上げるだろう」と話します。

昼夜開講制の大学院

阪大としては、中之島センターを吹田、豊中に次ぐ「第3キャンパス」と位置づけます。ビジネススクールやロースクールなど、社会人を対象とした昼夜開講制の大学院の開設を予定しているほか、教員が企業を対象に経済・経営や医療、技術分野などのコンサルティングを実施。市民向けの教養・文化・科学講座、講演会やシンポジウムも開きます。大阪の町民文化のシンボルであり、阪大の源流である適塾・懐徳堂の「平成版」を目指します。

社長は学生 ものづくり結ぶ、ベンチャー成果
大阪産業大設計生産システム研究室

大学の技術研究を生かしたベンチャーは関西でも増えています。しかし、学生が社長まで務める企業はまだ、少ないです。そんな1つが、大阪産業大設計生産システム研究室の大学院生、大橋江利架さん(22)の「オーエスユーテクノロジー」(大阪府東大阪市)。経済系ではなく情報工学の学生が、大阪に集積している「ものづくり産業」の持つ技能と連携しようと起業したところがユニークです。

デジタル取扱説明書

事業は、製品開発などを支援するシミュレーションシステム開発の受託が中心。すでに自動車のシートの「座り心地」をソフトウエアで解析したり、コンピューターグラフィックス(CG)によるアニメーション版「デジタル取扱説明書」を製作したり、成果を上げつつあります。

「座り心地」の研究は今後、姿勢や状態によって人体にどのような影響があるか、というテーマに拡大。寝たきりのお年寄りの介護や、靴の中で足にかかる圧力を解析して外反母趾(ぼし)予防を目指す、といった応用につなげたいです。コンピューターで人間の感覚などを模す「バーチャルヒューマン」(仮想人)がキーワードです。

成形加工シミュレーション

また、コンピューターの記憶装置などで需要が伸びている小型プラスチックレンズの成形加工シミュレーションも事業の柱。金型に素材を流し込んでレンズを成形する際の、金型の形や温度管理の最適化を追求します。

教授が会長

設立は、2001年9月。大手電機メーカー、大学などが計1000万円を出資し、大橋さんのほか社員3人で、研究室の前川佳徳教授が会長に就きました。仕事は学生、大学院生10人余りが請負形式で携わります。

研究室と地元のものづくりをリンク

大橋さんは「最初、『社長をやります』と手を挙げたあと、自分にできるか不安になったこともありました。でも、研究室の研究と地元のものづくり産業とをリンクさせることが少しずつできてきて、やりがいを感じています」と張り切っています。